2026.10.5

「やりたい」を見つけたら、どうできるかを考える。野村美紗さんの外資系マーケターから言語聴覚士へのキャリアチェンジ

著者:加藤愛子

野村美紗さん出演のトモバタ サムネイル

「今の仕事を、あと20年続けたいだろうか」。40代に入った野村美紗さんは、そんな問いを自分に投げかけていました。職場の人間関係はよく、仕事にも慣れてきている。それでも、長く働き続けたいからこそ、別の道があるのではないかという思いが消えませんでした。今回のエピソードでは、コンサルティングとマーケティングのキャリアを経て、言語聴覚士へ転身した美紗さんに、キャリアの転機と、今の仕事に感じる喜びを伺いました。

好奇心から始まった約20年の会社員生活

最初の仕事に選んだのは、さまざまな企業の課題に触れられるコンサルティング会社でした。その後、事業会社でマーケティングに携わり、B2B領域で10年以上経験を積みます。「これを専門にしたい」という明確な計画からではなく、面白そうだから「やってみたい」という好奇心が出発点。市場の見方や相手に伝えたいことを届ける方法を学んだ経験は、現在の仕事を進めるうえでも役立っていると話します。

心地よい環境でも、問いを止めなかった

二人のお子さんを育てながら、会社の制度や周囲の理解にも支えられ、働き続けることができました。一方で、人生の後半も働きたいと思ったとき、慣れた仕事を続けることが自分にとって最善なのかと考えるようになります。昇進やこの領域での専門性を深めることだけが答えではない。すぐに別の選択肢が見つかったわけではありませんが、「自分は何をしたいのか」という問いを持ち続けていました。

こどもとの経験が、新しい仕事につながった

転機になったのは、次男の言葉の訓練を通じた、言語聴覚士との出会いでした。必要な支援を受けたいと思っても、小児を専門とする人や予約できる枠が限られていると感じていました。親としてこどもを支えるなかで、「自分にもこの仕事ができたら」と思うようになります。こどもと家族の役に立ちたいという思いと、これまでの仕事で培った市場を見る視点が重なり、資格取得と独立へ進みました。

保護者と小さな成長を喜び合う

現在、美紗さんはこどもの言葉や発音などの相談に向き合っています。仕事を楽しいと感じるのは、こどもだけでなく保護者とやり取りできるため。親として不安や疑問を抱えた経験があるからこそ、保護者たちが今どんな状態にあり、次に何ができるかを一緒に考えたいと話します。こどもの成長には時間がかかり、すぐに結果を出せないもどかしさもあります。それでも前回との小さな違いに気づき、保護者と喜びを分かち合うことが、仕事の大切な部分です。

やりたいことを、どう実現するか

新しい一歩を考える人へ、美紗さんは「やりたいと思ったら、どうできるかを考えてやってみる」と語ります。長く築いたキャリアや家族との暮らしがあるから、変化をためらう気持ちは自然です。それでも、自分が納得できる人生を大切にしたい。こどもたちにも、仕事を楽しむ姿を見せたいと話してくれました。将来は、遠方に住む人や支援にアクセスしにくい人にも言語聴覚士の力が届く仕組みをつくれたら、と考えています。

【ゲストプロフィール】野村美紗さん

野村美紗さん

野村美紗さん。言語聴覚士・保育士。外資系コンサルティング会社で会計系コンサルタント、グローバルIT企業でB2Bマーケターとして勤務。二人のこどもを育てながらキャリアを重ね、次男の言語訓練をきっかけに言語聴覚士の国家資格を取得。現在はこどもの言葉に関する支援や、保護者への相談対応に携わる。

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