2026.10.13

「こどもの言葉」が気になるときに|言語聴覚士 野村美紗さんに聞く相談の第一歩

著者:加藤愛子

絵カードを手に話す言語聴覚士の野村美紗さん

「発音が少し気になる」「言葉がなかなか増えない」。こどもの言葉について、どの段階で相談すればよいのか迷う保護者もいるのではないでしょうか。

今回のエピソードでは前回に続き、言語聴覚士の野村美紗さんをお迎えし、こどものことばの支援と、家庭での関わり方について伺いました。

話すことだけではない言語聴覚士の仕事

言語聴覚士は、話す・聞く・食べることを支える専門職です。美紗さんが主に向き合うのはこどもの言葉。発音だけでなく、言葉がなかなか出ない、話の内容が伝わりにくいといった相談もあります。それを受け取った美紗さんは、こどもが何を理解し、何を表現できるかを丁寧に見ながら、支援の方向を考えます。

言えることと分かっていることは違う

例えば、こどもが大人の言った「コップ」を繰り返せても、その言葉が目の前の物を指すと理解しているとは限りません。美紗さんは、言葉をまねできるかに加えて、物を選べるかなどから理解の様子を見ます。何が難しいのかによって、発音の練習より先に、言葉と物を結びつける経験を増やすこともあるそうです。

普段の暮らしに言葉を添える

こどもの言葉が気になるとき、ご家庭でも関わり方を工夫できると美紗さんは話します。例えば、こどもと同じ物を見ながら名前を伝えること。目の前のコップを指して「コップだね」と声をかける。絵本を一緒に見て、こどもが注目しているものに言葉を添える。音をたくさん聞かせるだけではなく、何を表す言葉なのかが分かるようにする工夫です。トレーニングの時間を新たに設けなくても、日常のやり取りを通じて学びの機会を増やすことができます。

小さな気がかりも 相談してよい

美紗さんは、多くのご家庭を訪ねてこどもと遊びながら、言葉や発音の様子を見ることが多いそうです。そこで出会う保護者について、「本当に子育てを頑張っている」と話されました。忙しい毎日の中では、心配事があっても病院へ行くほどか判断できず、後回しにしてしまうこともあります。相談は必ずしも「何かを直す」ためではありません。今の状態を整理し、家庭でできることや次に相談すべき先を一緒に考えるためにも使えると、美紗さんは伝えます。

そして何よりも言語聴覚士という専門職が、気軽に相談できる窓口になれたら、と美紗さんは話されます。

※注意:こどもの発達には個人差があります。番組で紹介する年齢や支援方法は一般的な目安として一律に当てはめず、気になることがあれば医療機関や地域の相談窓口、言語聴覚士などにご相談ください。

【ゲストプロフィール】野村美紗さん

野村美紗さん

野村美紗さん。言語聴覚士・保育士。外資系コンサルティング会社で会計系コンサルタント、グローバルIT企業でB2Bマーケターとして勤務。二人のこどもを育てながらキャリアを重ね、次男の言語訓練をきっかけに言語聴覚士の国家資格を取得。現在はこどもの言葉に関する支援や、保護者への相談対応に携わる。

プロフィールを見る

Spotify

Apple Podcasts

「こどもの言葉」が気になるときに|言語聴覚士 野村美紗さんに聞く相談の第一歩 | coichigo